2-39 加速する不満

2-39 加速する不満

ホテルに戻った。私のデラックスルームは3階にあってホテルのプールを見下ろせる。そのプールの向こうにはフィリピンで一番高い山、アポ山が見える。マヤは一旦家に戻って、また夕食の時に来ると言った。

マヤから、マークのトリシクルのガソリン代を払ってくれといわれた。やっぱり請求して来た。だけど、100ペソでいいという。230円ほどだ。マヤの請求は慎ましい。私が望んだわけではないけれど、エデンまで運転してくれたのだから、お礼のつもりに500ペソ渡した。現地の現金感覚で1万円。十分だろう。

兄付きのデートなど生まれて初めてだ。疲れた。まぁ、初対面で即一族ご対面というのも初めて。因みに、初対面の女性二人といきなりホテルで一晩過ごすというのも初めてだった。ダバオの常識にはなかなかついていけない。

ビーチを歩いたので、体がべとべとする。せっかくプールがあるので泳ぐことにした。そういえば水泳は結構久しぶりだ。水は程よく暖かい。やはり南国。しかし、気持ちいい。プールで一番長く泳げるところは水深も深く、足がつかなかった。最初はちょっと水浴び程度のつもりが、平泳ぎ、背泳ぎ、クロールなど一通り、ついに潜ってみたり、結構泳いでしまった。ダイビングもプールで我慢。笑

プールサイドのデッキチェアに横たわり、しばしリゾート気分を味わう。マヤとは決していい関係になっている訳ではないけれど、このひとときは南国のいいバケーションを過ごしていた。

夕方、マヤがホテルに現れた。またアイラを連れていた。「なんでアイラがいるの?」と聞くと、「お母さんが二人きりはだめだというから。」とマヤは答えた。これで呑み込めた。マヤは観光ガイドだ。それ以上にはなりえない。マヤへの気遣いはやめて、私がここで何をしたいかを考えた方がいい。

マヤは「日本食レストランに行くか?」と私に聞いた。私は「日本食レストランには行きたくない。私は日本人で日本食を毎日食べている。ここでわざわざ日本食を食べる必要はない。美味しいフィリピン料理が食べたい。」そうリクエストした。海外の日本食レストランは、大抵大したことはない。そのくせ値段だけは高い。そんなところに女二人を連れて行けるか。どうせ奢らされる。もうフィリピン料理でいい。ダバオ郊外に丘があって、その丘の上に美味しいレストランがあると聞いた。そこに行きたいとリクエストした。

割り切ったつもりだが、不愉快さは抜けない。マヤの家族から監視されている。さらに何人もに食事を奢らされる。たかられているんじゃないかと思うほどだ。

タクシーを捕まえた。そしてレストランに向かう。この運転手、私が女を連れた観光客だとみてわざと遠回りをした。空港からホテルまで200ペソだったのに、それより半分くらいの距離のレストランまで200ペソかかっている。それと助手席に乗ったアイラを口説いていたそうだ。いやな体験が重なる。私の不満は加速した。

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