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言葉、ことば、コトバ!第18回

「トリスタンは式子内親王の夢を見るか?(・・;)」

一応、国文学者をやっていると古典が大好きなおじいさんとかが面白い説を考えたので、聞いてくれとかやって来る。

ある能が共通の趣味で知り合った老人が「トリスタンとイゾルデ」と言うオペラは能「定家」が基ではないかと言い出し、吹き出すのをこらえるのに骨が折れた。f(^_^;

トリスタンとイゾルデ」はヨーロッパの神話で、19世紀にはワーグナーがそれに基づいて、オペラ(厳密にはムジークドラマ)を作った。地域や時代によっても細部が違うのだが、大まかに言うと、トリスタンと言う騎士と、イゾルデと言う姫の恋、悲恋の話で最後は二人とも死んでしまう。

一方、能「定家」では定家は式子内親王への邪恋がやまず、死後、定家葛と言うものに変身し、内親王の墓をぐるぐる巻きにして苦しめていた。f(^_^;

能は基本的に偉人の霊を供養し、成仏させると言うものである。

しかし、定家では苦しむ式子内親王が成仏させられたと思うと定家葛が不気味に表れ、能の中では唯一であろうか、成仏の失敗と妄執のすさまじさで終わるのである。

それで、そのおじいさんは最後、主人公が救われず、妄執にとらわれて終わるところがワーグナーが「定家」を何らかの方法で知って、本歌取りしたのでは?と言うけど、ちょっと無理があるかな?f(^_^;

だいたい、能「定家」は確かに妄執で終わるが、イゾルデの「愛の死」で終わる「トリスタンとイゾルデ」は救いで、終わっているのではないかと思うが。

また、トリスタンの格好よさに比べて、定家は暗く、輝いていない存在だし、ヒロインが神秘的な力を持っているところは似ているとも言えるが、式子内親王ははるかにスケールの大きい聖女である。

でもまあ、みんな好きなイメージを抱いて、観ていれば、良いのである。f(^_^;

定家と式子内親王はそうそうたる恋の歌を残しながら、現実の恋をしていない。(式子内親王は独身、定家は政略結婚である。)

だから、二人がつきあっていたとみんな考えたのかなあ?f(^_^;

式子内親王は良い迷惑。(・・;)