腰は体の要(後編)

一龍:……暇ですな。

との:……暇じゃのう。

一龍:未だに10分程度しか、椅子に座ることが難しい状態です。

との:どう座っても、右足が突っ張るような痛みに襲われてしまう。

一龍:派手に傷めてから、2週間経っていませんからな。まだ、仕方ないかと。

との:痛みが消えるまで、3ヶ月ぐらいはかかるというからのう。

一龍:金曜日に診察なので、薬を増やしてもらって調整できればいいのですが。

との:痛みがあると、創作どころかゲームを楽しむことすら難しいからのう。

一龍:とはいえ、1番酷かったときに比べれば。

との:普通に生活することすら、難しかったからのう。

一龍:眠れなかったことの他にも、風呂とトイレが辛くて辛くて……。

との:痛みの辛さに順番をつけるとすると、寝る>立つ>崩した正座>座る(無理)

    といった感じであった。

一龍:用足しはもちろん、風呂も体を温めるために必須でした。

との:単に風呂好きなだけという話もある。しかし、風呂に入るのに、ここまで覚悟と

   準備が必要になろうとはのう。

一龍:浴槽に湯を入れ始める→横たわって腰を伸ばし、痛みを紛らす→湯を止める→

   横たわる→着替え等を用意する→横たわる→入浴というように、小刻みに

   段階を踏まなければなりませんでした。

との:浴槽の中では崩した正座じゃが、浮力があってすら、間を置かず激しい痛みが

   襲ってくる。

一龍:右足に体重をかけると酷くなるので、浴槽の縁に体を預けたりもしました。

との:それでも、3分ぐらいが限界じゃったからのう。

一龍:体を拭くのも難しいので、風呂に入る前にタオルケットを床に広げておいて

   そこに寝転がることで対応していました。

一龍:トイレも、これまた厳しかったですな。

との:立てん座れんでは、さもありなんじゃ。

一龍:尿意はあるのに、痛みのせいで出ないのですよ。

との:腹に力を入れると激痛に襲われるゆえ、腹圧をかけるのが恐ろしいせいもあった。

一龍:土曜日は結局、1回しか排尿できませんでした。寝ながらペットボトルという

   方法を、考えないでもありませんでしたが……。

との:腰痛ごときでそれは、人として許容できんかったと。

一龍:完全ではないとはいえ、痛みが引いてくれて助かりました。

との:このまま治らんかったら……、と何度も不安がよぎったよのう。

一龍:意外と早く回復しているのは、温めたおかげではなかったかと。

との:使い捨てのカイロを、低温火傷に気をつけて貼り続けたからのう。

一龍:氷で冷やしたまま寝たら、地獄を見ましたからな……。

との:神経からくる痛みは、やはり温めるべきか。

一龍:気温が上がって辛かったですが、あの痛みに比べたら暑さぐらい!

との:しかし、足腰の痛みぐらいで地獄とは大袈裟に過ぎた気がせんでもないぞ。

一龍:ヘルニアの語源は、ラテン語で「脱出」らしいですが、「地獄の近く」という

   意味から来ているという、俗説もあるそうですぞ。

との:昔はまあ、治療法もなかったからのう。

一龍:とはいえ、癌性の疼痛などは、なにをやっても痛みが取れない場合もあるわけで

   そういうのに比べたら……。

との:今まで、大きな病気や怪我をせんかったことを、幸せに思うべきじゃな。

一龍:御意。